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BONSAIについて

今朝、ニュースで和牛がWAGYUとして欧米に流失しているという記事を読んだ。

韓国のイチゴ問題や、シャインマスカット問題も同様だが、国にとって非常に大きな損失ではないかと思う。

 

例えば起業するにあたり、売上をたてるためにサービスや商品を開発する必要がある。
新しいサービスや商品を開発するにあたってのアイデアは今ある既存のサービスや商品を参考にして、様々な物を組み合わせて新しい物を制作する。
どんな発明家であっても0から生み出した物はない。

 

 

この世の中の発明やアイデアは全て既存のその物を組み合わせた結果である。

 

それは国も同じである。

 

世界の歴史を見れば分かるが、歴史の浅い国、独立して間もない国というのは先立って産業という物がない場合が多い。国としては早期に産業を確立し経済を確立させ、国土の平穏を保たなければならない。

 

前のブログでも少し触れたが例えば、シンガポールは建国後、運輸業、金融業、観光業を発展させアジアで最大の金融市場を作りあげた。

 

少し歴史を振り返ってみると、建国後のアメリカは大きな産業もなく新興国のひとつに過ぎなかった。当時世界の覇者はイギリスで世は産業革命の真っ只中。特に繊維工業は国として重要な位置付けがなされており、イギリスはそれらの技術を守るべく、機械や装置、技術を外国へ輸出することを禁止していた。アメリカは繊維工業に目をつけ、移民を受け入れる名目で報償を出しイギリスから職人を受け入れた。そして、職人と同時にイギリスから盗んだ技術を国内で守るため自国での特許法を改定した。

 

また隣の国、中国をみると一見歴史は長いように見えるが、時の政権によって文化や民族が全く異なり、それらを受け継ぐ歴史の連続性がない。現在の中国は中国共産党の国ともいえる。
中国が世界のブランドを真似て自国の物として販売している光景をメディア等で目にする事があるが、過去の歴史を見ればそのような事は常套手段と言っても過言ではないと思う。

 

一個人と国では大差ある様に見えるが、人類の文明はその繰り返しだと思う。
勝てば官軍、負ければ賊軍という言葉があるがまさにその通りだと思う。
他者から奪っても、最後に生き残ればその奪った者がそれを生み出した様に見せる事ができる。
世界を相手にビジネスをするという事はそういう事だ。
和牛がWAGYUに取って替わる日もそう遠くないかもしれない。

 

 

話は変わるが、香川県高松市には盆栽の生産量が日本一と言われる産地が鬼無町、国分寺町にある。
盆栽といえば埼玉県の大宮をイメージする人も多いだろう。

 

大宮は戦後、東京から多くの盆栽園が移住し大宮盆栽村を作った歴史がある。
(さいたま市大宮盆栽美術館 The Omiya Bonsai Art Museum, Saitama)
〒331-0804埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3 電話番号 048-780-2091
https://goo.gl/maps/fMuqPZ3t8WM2


 

また盆栽村には盆栽園が6社あり、中を見学できる仕組みになっている。その奥には盆栽美術館があり、盆栽の一大テーマパークとなっている。
(芙蓉園:048-666-2400 さいたま市北区盆栽町96)
(清香園:048-663-3931 さいたま市北区盆栽町268 )https://goo.gl/maps/7JQBfrQDaAr

 

(蔓青園:さいたま市北区盆栽町285)https://goo.gl/maps/pwzaEvzgdDu
大宮と高松では盆栽に対するビジネスモデルは異なるが、ともに日本を代表する盆栽の町だ。
高松市も大宮に負けじと盆栽のPRのため「盆栽の郷」構想を立ち上げた。
最近では個々レベルで「盆栽」を使った商材、サービスを展開した動きが活発になっており「盆栽」を「BONSAI」として海外でPRする動きも多く見られる。
冒頭で触れたWAGYU問題を見て思うのが、「BONSAI」の売り出し方、ブランディング、そしてブランドを守る体制が構築されているかがとても大切ではないかと思う。
現在、高松市鬼無町には約60の盆栽業者が存在する。
多くの盆栽業者は自社農場を有しており、生産、出荷、販売を全て行っているのが通例だ。
その多くが家族や親族による経営であり、従業員を雇用するほどの余裕がないところが多いため、中国などのアジア諸国から研修生を受け入れている所もある。
それぞれが工夫し独自の路線で経営を成り立たせていっているが、国内市場の縮小から輸出に力を入れている業者も多く存在する。
現在、アジアで販売されているのは高額な盆栽(数十万〜数百万)と聞くが、その木が育つまで何十年と歳月を有するため、中国やアジアで盆栽の需要が高まれば、供給スピードが追いつかなくなるだろう。また良い盆栽(賞を受賞した盆栽)が多く海外に販売されているという話も聞く。
高松の盆栽には「高松盆栽」というブランド名がついているが、マスターブランドには明確な定義はないまま名前だけが商標登録で守られているが、本当に守らなくてはいけないのは高松盆栽を生産している農家さんではないかと思う。

 

守るといっても過保護に、税金を投入するという話ではない。
メディアでの露出が増えたおかげで鬼無には連日多くの外国人観光客が訪れているというが、
インフラの整備が整ってないなかで、いまの鬼無にそういった外国人を受け入れるものは無い。
彼らが訪れた時、海外バイヤーなのか観光客なのか分からない為、無碍にはできないため、その負担を強いられているのは農家さんであるのも事実だ。
盆栽を使って商用的ビジネスをするだけでなく、鬼無・国分寺の歴史と盆栽農家さんの技術をアセット管理し、目先の利益だけではなく、長期的に、地域や盆栽農家さんが継続して生産ができる体制を整えていき、それらを外部の脅威から保護してもらえる様に、行政には先頭になって取り組んでいただきたいと思う。

 

盆栽が「WAGYU」にならない様に。