04 05 2020
小さな花 A little flower
4月1日からドミトリーとしての営業を停止している。
誰もいない朝、建物のチェックに向かうと、2年前ハナレドミトリーの庭に植樹した桜の木からたった一輪だけ花が咲いているのを見つけた。この桜、昨年の台風の時も大雨の時もひたすらに耐え何も考えず何も言わず、ただひたむきに根を張り続け花を咲かす準備をして来たのだ。
現代の社会、マスメディアやsnsの情報やデマに流されている狼狽している自分達を俯瞰してみると自然の強さはその精神力にあるのだと思う。人間が食物連鎖の頂点に立ち、テクノロジーを駆使し、地球の覇者として勝ち誇ってみても、結局自然の前で無力なのである。
その自然の原理を改めてこの桜が教えてくれた様な気がした。
自然界に人間と同じような思考があるのかは分からないが、仮にあったとしたらそれはとてもシンプルだと思う。
この桜は1週間のためだけに花を咲かせる事だけを考え生きている。
現在の人間はそのシンプルに生きる事さえ複雑にしている。
この桜今年は宿泊客がいない為に俺たち以外の人には見向きもされない存在かもしれないが、来年はもっと綺麗な花を咲かせてくれる事だろう。
世界中が苦難を強いられているが、この逆風に逆らおうとせずに静かに根を張り続けていきたいと思う。もし宿が続けられなくなったとしても俺の張った根がいつか小さな花を咲かせられると信じている。
大局に流されず自然の原理に沿ってシンプルに自分が信じた事を続けていきたいと思う。