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ビートニク詩人達を描く〜高松ゲストハウスTraditional Apartment〜

2015年8月のTraditional Apartment開業の前に、入り口にトランプをモチーフとした絵を描いた。


開業前は資金も乏しく時間もあったので、以前から好きだった絵を描いて飾る事にした。
いまでも飾っているその絵は僕が好きな人達をトランプ柄にした物なのだが、この人達のファンの方々が絵を見て泊まりに来てくれたりと思わぬ効果もあった。


絵を描いても売れる訳でもなく(もちろん売る為に描いている物ではないが)、描いた事で直接的に売り上げに関わる物でもない為に、徐々に作品を増やしていこうとノンビリ考えていたのだが、やはり売上に関わらない事は後回しとなり、開業以降全くといっていいほど絵を描いていなかった。
以前のブログにも書いたのだが、常々旅をしていて思うのは、無駄な時間(この場合、無益と言うべきだろうか)ほど、後々大切な物となる気がする。
もちろん意味もなくパソコンや携帯をいじる時間はここでいう無駄な時間ではなく、無意味な時間である。その点は混在しないでほしい。


3月から続く自粛の波が都会からやってきて、高松にも大津波としてやってきた。瀬戸内Whiskey’sのランチも感染防止のため、店内飲食を制限してテイクアウトを始め、夜のBAR営業も自粛となった。そんな状況のなか普段は聞き流すのだが、日本人は相手に対してよく「頑張って」と声を掛ける。もちろん僕も使う時もあるが、正直僕はあまり好きな言葉ではない。
もちろん頑張る人は言われなくても既に「頑張ってる」だろうし、頑張ってもどうしようも無い時に「頑張って」という言葉ほど残酷なものはない。
まさにこのコロナの状況は頑張ってもどうしようも無い時である。


これは僕の考えだが、そんな時は「頑張らない」のが一番なのである。
自然の森や木の様に、嵐が過ぎるのをひたすら待つのが一番である。嵐はいつか過ぎ去る。
そう決めて無駄に嵐に抵抗しない道を選んだ。




そして過ぎ去った後の新しい世界に向けて今一度初心に帰ろうと思い、絵を描こうと思った。




描くルールはただひとつ




僕が「好きな人達・影響を受けた人達」である。


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久しぶりに描くため、まずは道具を揃える。
最低限必要なのは3点である。


①キャンパス
②絵の具
③筆


まずキャンパスに使うのは、建築用資材でもあるコンパネを使用する。
耐久性も十分で何より安い。
コンパネを調達する為、お得意先の屋島にある「西村ジョイ」にやってきた。



建築資材コーナーに来ればコンパネはたくさんあり、またその場でカットしてもらえる。


コンパネのサイズは概ね1820mm×910mmで、僕が描くキャンパスはこのコンパネを3分割する。



1枚1200円〜1800円くらいのコンパネから3枚取れるのでかなり経済的である。

次に絵の具である。
基本的にアクリル絵の具と水性ペンキで描く。
ペンキはそのまま西村ジョイで購入できるが、絵の具はネットで購入した方が経済的だ。
今回購入したこちらのアクリル絵の具は48色入っていて4300円とかなりお買い得だった。






筆も同様にネットで注文する。


ナイロン素材だが大量に使用するのでなるべく安価な方がいい。50本入りで1500円という物を見つけた。



絵の具も筆も品質には十分問題なさそうで早速絵を描いていこうと思う。


が、しかし描くもなにも何を描くかが決まっていなかった。。。


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描くルールに基づいてモデルを考える。。。
久しぶりに描く一発目なので、自分のルーツというか自分が好きな物のルーツをたどり考えてみた。
そう考えていくと、現代のアメリカンカルチャーはこの人達に行き着くのではないかと言っても過言では無いような気がするのである。


アレンギンズバーグ
ジャックケルアック
ウィリアムバロウズ
チャールズブコウスキー


この人達はビートニク詩人といわれる作家である。ビートニクと言ってもすぐにピンと来る人は少ない様に思うので、簡単に説明すると、


「ビートニクはビートジェネレーションと言って、1920年代に生まれ、概ね1950年から1960年に活躍した作家の事を言い、古き良き時代のアメリカ。ミッドセンチュリーと言われる時代に活躍した作家達である。
第一次大戦後に起きた未来文明に対する茫漠たる絶望感によってヘミングウェイらが、ロストジェネレーションと呼ばれる刹那的な文学を生み出し、第二次大戦後に起きたさらなる絶望感がビート・ジェネレーションを生んだ歴史がある。
ビート文学の主張の根本は、文明社会を否定し、開拓時代のフロンティアスピリッツやホーボー(季節労働者)の放浪生活を見直し、ネイキッドな魂を解放しようというのが基本。いわゆる当時の不良達はバイクとか無かったかわりにペンを取って文学を作った。
ビートニクスはアメリカ最初の反抗する若者であり、そのキングとしてかつぎ上げられたのが、『路上 ON THE ROAD』をたった3週間のスピードで書き上げたジャック・ケルアック。そのビートニクからヒッピーが影響され、ボブディランやジミヘン、ドアーズに繋がりヒッピーに憧れた、スチュワートブランドが、ホールアースカタログを作り、それに感化されたスティーブジョブスがMacを作った。」


世の中のカルチャーは点と点で存在している様に見えるが、実はそのほとんどが線でつながっている。余談であるがビートたけし(北野武)の、名前のルーツもこのビートニクスから来てるらしい。


僕はこの4人を描く事に決めた。


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描くモデルが決まったら後は早い。描くだけだからだ。

まずはコンパネに中心線を描き、ベースの白色を塗る。


そして次に下書きを描く。

鉛筆で影を描いていく。



そしてコントラストをつけた部分に絵の具で色を入れていく。














そして最後にステンシルで代表作品の文字を入れる。






僕の中でのキングオブビートニクであるアレン・ギンズバーグ
彼の詩集「HOWL」は入門編。



自身の経験を綴ったジャンキーが有名なウィリアムバロウズ。
メキシコでは彼が住んでいた家やよく通っていたレストランにも行った。



ビートニクのキング、ジャックケルアック。
映画にもなった自伝記「路上/on the road」に憧れて旅に出た。



酒とタバコと女を愛したチャールズブコウスキー
中学生の時に読んだ「ありきたりの狂気の物語」に影響された。




久しぶりに絵を描き、無心になり雑念から解放された様に感じた。
そして出来上がった絵を見ながら、自分が好きな物を見つめていると、自分という存在はどこから来たのかという難しい哲学的な考えになりそうだったので、若かりし頃友人たちと朝までダラダラと酒を飲み文学について語り合った無駄な時間を思い出しながら、キューバで購入した葉巻に火を点けて、ジャックダニエルをストレートで飲み干した。