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【キューバの旅〜DAY4】キューバ最終日の夜に・・〜高松ゲストハウスTraditional Apartment〜

【深夜2時】

 
僕たちを乗せたオンボロタクシーは僕たちの部屋のある廃墟同然のビルに泊まった。
さっきまで一緒にサーフィンをしていたイギリス人俳優のロンもここで一緒に下車した。彼はここから徒歩10分のところで宿を取っているらしい。ロンからの提案で夜は3人でビールでも飲もうという事になった。
 
 
両刀のフェルナンドはサーフィンの時からイケメン俳優のロンと仲良さげな感じだったので、連絡先交換しているだろうと思い、僕はロンの連絡先を聞いていなかった。
 
 
フェルナンドが急いで僕を海からあげたのには理由があって、15時からスタートの葉巻工場の見学に行きたいという事だった。
 
 
14時半くらいに部屋に帰ってきた僕は、15時までに間に合う様に、シャワーは浴びずに着替えだけ済ませた。
フェルナンドはシャワーを浴びたいという事だったので、僕はベッドで待つ事にした。
 
フェルナンドがシャワーから出るまでの間に、彼が記載していたお金のリストを見て、僕が立て替えていた航空券と彼が支払った飲食代の差額を清算し、僕が彼に支払うお金があるのか、それとも彼が僕に支払うお金があるのかを確認したかった。
旅はこれからまだ続くし、宿で使用する物の仕入れ等もあったので予算を計算する上でも、待ち時間に確認したかった。
 
 
シャワーを浴びて出てきた彼に、紙を見せて欲しいとお願いしたのだが、フェルナンドは夜に確認しようと言ってきた。
夜はロンと飲みに行く約束だし、明日の朝にはチェックアウトして空港に行かなくては行けない。今夜がキューバ最後の夜なので、予算によっては、折半など気にせず少し贅沢に遊ぶ事も考えていた。
 
僕はその事も伝えたのか、彼は15時まで時間がないという事で、リストは見せてくれなかった。
僕はこれまでのキューバでのお金のやり取りの事が脳裏によぎり、だんだんとイライラしてくるのが分かった。
 
けど、ここで怒っても良くないと考え、イライラを落ち着かせようと、外の空気を吸うために廃墟ビルの1階で待つ事にした。
 
 
彼は「すぐに準備して降りて行く。」という事だった。
 
 
僕は苛立ちを抑える為に、外の空気を吸いながらビルの1階で待とうと思ったが、キューバの暑さと埃っぽさが余計に苛立ちを増進させた。
時計をビルに降りてきてから15分が過ぎていた。時刻は15時00分になろうとしていた。それから10分経過しても降りてこない。葉巻工場の約束の15時を過ぎている。
 
 
結局苛立ちを抑える為に、下で待っていたのだが、さらに苛立ちを増加させて、部屋に上がる事になった。
 
 
「おーい。何しているんだ。もう15時を過ぎているぞ!」
 
そう言いながら部屋に入ると、有名女優の楽屋かと思うくらい優雅な感じでフェルナンドが化粧に精を出していた。
 
 

「お前さー。30分待っている間に俺、お金の計算できたよね。

こうやってお前が化粧している間にもお金の清算をして、時間を有効に使えたよ。

しかも15時には行かなくちゃいけないとかいいながら、なんでまだメイクしてんだよ!」

 

僕は今まで溜まっていた感情が一気に爆発した。
 
これ以上、彼と一緒にいると本当に喧嘩しそうだったので、

「悪いけど、俺は一人で出かける。」

そう言って部屋の鍵を取り一人で街へ出かけた。
 
フェルナンドはキョトンとした顔をしながら僕を見ていた。
 
 
ハバナの街を最後に堪能しようという気持ちとフェルナンドへの怒りの気持ちで、僕は徹底的に街を歩いた。
2〜3時間歩いたところでWi-fiをつなげた。するとフェルナンドからメッセージが入っていた。
 
「お前は失礼なヤツだ。鍵を勝手に持って出て行きやがって。俺はWi-fiカードがもうないからどうやってお前と連絡を取るんだ」
 
その様なメールが入っていた。
 
確かに鍵は1本しかないので、それは僕にも非があった。僕はすぐに部屋に戻り鍵を植木鉢の下に隠して、彼に鍵の置き場所と謝罪のメールした。
 
カードがないならショップでカードを購入してネットを繋げる事ができるし、彼とは容易に連絡を取れるだろうし、恐らく彼は一緒にサーフィンをしたイケメン俳優のロンと飲んでいるはずなので、そのうち連絡あるだろうと思っていた。
 
しかしそれから彼からの連絡はなかった。
 
僕は一人で夕飯を済ませて部屋に戻った。時計は12時を指していた。
 
植木鉢の下を見たが鍵はそのままだったが、僕はシャワーを浴びて寝る事にした。
 
 
どれくらい経ったのだろうか。朝なのか夜なのか分からない。遠いところから、低い音がする。
 
ゆっくりと僕の意識が戻り始める。
 
 

ドンドン!!ドンドン!

 
 
ドアを叩く音だ。しかも誰かが叫んでいる、尋常じゃない叫び声だ。
 
 
 
僕達の部屋は、外側の通路にも面しており、部屋を隔てる通路の壁を叩く音もしている。
 
 
隣のベッドを見るとフェルナンドは帰ってきていない。
 
叫んでドアを叩いているのはフェルナンドだという事に気付くのにそう時間はかからなかった。時計を見ると深夜の2時だ。
 
こんなに大声で叫ばれ、そしてドアを叩かれたらホストフェミリーにも迷惑だ。
 
 
急いで玄関に向かうと、ホストファミリーが総出で起き、玄関の鍵を開けフェルナンドを室内に入れている最中だった。
 
 
フェルナンドは完全に酔っ払い目は焦点があっていない。服もはだけ、髪もバサバサである。室内に入るや否や一目散に部屋に入っていった。
 
ホストファミリー達はお前の友人は狂っているのか?と僕に質問してくるが、とりあえず謝る事しか出来なかった。
ひたすらホストファミリーに謝った。
 
 
部屋に戻りひとまずフェルナンドを冷静にさせるが、酒が入ると彼は狂うタイプの人間であり、完全に我を忘れて大声で僕に突っかかってきた。
 
とりあえず鍵の事は謝った。
 
しかしメールで鍵を置いている場所を説明したはずだが、どうやら僕にメールを入れた後、ネット回線が途切れ、Wi-Fiカードを購入せずにいたらしい。
 
そしてそのまま飲みに行き帰宅したようだった。
結局ロンとも連絡取れず一人で飲んでた様だった。
 
 
そして彼は僕にこう言った。
 
「教えてくれ!俺が何かいけない事をしたのか?」
 
ここは腹を割って話をすべきだと思い、今までの経緯、そして僕の考えを全て話した。
 
「俺にとって金は重要な問題じゃない。」
 
 
彼はそう返答してきた。
僕が伝えたかったのはお金の事だけじゃなかったのだが、。
とにかく彼自身が支払うお金についてはその考えでいいと思うが、僕が立て替えている航空券や、僕と折半の交通費や食事まで、その考えでいたのかと思うと尚更、腹が立った。
 
 
また、酒が入っているフェルナンドは、普通のメキシコ人からスーパークレイジーメキシカンへと変貌している為、冷静に話しができる状況ではなかった。
 
 
そして彼はどんどん僕に突っかかってくる。もう話しをしても無駄だった。僕達はもう少しでお互い殴りあう寸前だった。
 
 
しかし僕は我にかえり、これ以上の争いを避けるべく、ベッドに入った。
 
 
苛立ちと、途中で起こされた為、それからなかなか寝付けないでいたが、いつの間にか眠っていた。
 
 
朝、眼が覚めると彼はすでに起きていて、荷物をまとめていた。僕が目覚めた事に気付いたのか、彼は、記載していた支払いのリストを僕に見せてきて、清算をしようと言ってきた。
金額は彼が支払った金額よりも僕が立て替えた航空券の方が高かったので、彼は僕に返済する約束をし、そのまま部屋を出て行った。
 
 
そして数時間後に僕も空港に向かった。